2017年2月 小松空港へ向かう機内から見える北陸の景色は前の週に降った雪の名残で白く色づき、モノクロの幻想的な美しさは金沢旅へのプロローグとして旅の期待値を少しずつ盛り上げていきます。
小松空港からはバスで40分程かけ金沢駅へ。『世界で最も美しい駅』に選ばれている金沢駅の兼六園口にて「もてなしドーム」と呼ばれる鉄骨構造のガラスドームと加賀宝生の鼓をイメージした「鼓門(つづみもん)」 がお出迎え。
最初の目的地は小京都の趣を持つ『ひがし茶屋街』まるでタイムスリップをしたかのような風情のある佇まいの中にある飲食店や土産店が歴史ある建物の中にうまくモダンさを融合させ、現代に引き継がれていました。ひがし茶屋街ではこの旅で初めての食事。日常の喧騒から離れ、のんびりと過ぎていく時間の余韻をゆっくりと満喫。
入ったお店は江戸前の天ぷら店。金沢は天ぷら文化ではなく比較的お店も少ないとのことでしたが、日本海で取れる海の幸や加賀野菜など魅力的な旬の食材がひとつひとつ丁寧に揚げられ、目の前に取り分けられていきます。素材の旨みが存分に閉じ込められた食事に舌鼓。
食欲を充分に満たし、次に訪れた場所は観光名所としても知られ日本三名園でもある兼六園へ。広大な土地に、池、築山、御亭を配置した回遊式庭園で「宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望」の六勝を兼備することから兼六園と命名された庭園です。
この時期は北陸特有の重い雪から木の枝を守るための冬の風物詩、雪吊りが施された木々を見ることができます。この日は降雪がありませんでしたが残雪のある園内を廻り隣接する金沢城とともに冬の金沢をのんびりと散策。
歴史的名所を巡り、次に訪れた場所は『金沢21世紀美術館』先のスタッフニュースで書いた高松、直島の記事同様、ここ金沢の地も伝統的な観光名所と現代アートがうまく融合。美術館設計者の妹島和世、西沢立衛の両氏も直島、地中美術館を設計した安藤忠雄氏同様、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した人物です。回遊式庭園の兼六園さながらこの全面ガラス張りの円形美術館も来館者が好きなように多様なサイズと形の展示室間を回遊できる「回遊式美術館」の様相を呈しています。
北陸新幹線金沢が開業し、昨年は『ミシュランガイド富山石川(金沢)2016 特別版』も発表されたことで観光地以外に食の面でもますます注目を浴びる金沢。
日本海に広く面し、地域ならではの海の幸、農産物や畜産物に四季折々の素晴らしい食材に恵まれた地域だけに魅了的な食事処が多くあり、また訪れたいと強く思う場所でした。