Blog 2021/1/22

信念の人〜カール・ブラシア

『倒れることは罪ではないが、倒れたままでいることは罪だ』

こんな言葉を残した「カール・ブラシア」という人物を、皆様はご存知でしょうか。
映画好きな方なら、2001年公開されたロバート・デ・ニーロ主演「ザ・ダイバー」(原題:Men Of Honor)のモデルとなった人物、というと思い浮かぶ方がいらっしゃるかもしれません。

困難な時代に逆境に打ち勝ち、現代でもその偉業を称えられる彼の人生をご紹介いたします。

【不屈の精神】

1931年アメリカ・ケンタッキー州で小作人の家に生まれた彼は、貧しさから抜け出すため職を探していましたが、十分な教育を受けることができず、また当時広く蔓延していた人種差別に直面していました。しかし、彼はアメリカ海軍の潜水士になること夢見て、1948年16歳の若さで合衆国海軍に入隊します。海軍学校では上官や他の学生達から言われのない差別を受けますが、彼は屈することなく合衆国海軍初めてのアフリカ系アメリカ人ダイバーとなりました。

彼の潜水士としての初めての任務は、沖合で半分沈みかけている軍艦から約16,000発の弾薬を回収することでした。彼の潜水技術と冷静な判断により任務は安全に遂行され、周りから一目置かれる存在となり当時の大統領専用ボートの護衛担当にも抜擢されました。

【片足のダイバー】

難しい任務を遂行しマスターダイバーとなった彼ですが、35歳の時ダイバー生命を揺るがす大きな事故に遭います。

1966年スペイン南部上空で米空機同士が衝突し、水素爆弾4個が落下する事故が発生します(パロマレス事件)。落下した弾頭の1個は80日後沖合に沈んでいるのが発見され、カール・ブラシアはその引き上げを担当していましたが、作業中の事故により左膝下を失ってしまいます。海軍は障碍者となった彼を退役させようとしましたがそれを受け入れず、史上初の片足潜水士として任務を続け1979年の引退までマスターダイバーとして活躍しました。

その後彼の功績を讃え、また困難に打ち勝ったその非凡な人生を後世に伝える為非営利団体「カール・ブラシア財団」が設立され、現在では退役軍人病院に数千ドルの寄付や負傷した軍人の社会復帰を支援しています。

【希望のシンボル】

アメリカでは「困難に負けない不屈の信念を持つ人」として前述した映画のモデルにもなり、現代社会の中で希望を与えるヒーローの1人です。この物語をより広く世の中へ広める為、2015年スイスの時計ブランド「ORIS」はカール・ブラシア財団とパートナーシップを結びました。ORISはこれまでにカール・ブラシアモデルを2度に渡り発表し、売上の一部を財団に寄付・支援してきました。

3度目のコラボレーションとして2021年1月に発表されたモデルは、新型の自社開発自動巻きムーブメント「オリスキャ リバー401」を搭載した最初の時計です。

「カール・ブラシア キャリバー401 リミテッドエディション」
価格:¥450,000+税
ケースサイズ:40㎜ 世界限定2,000本

ブロンズ製のケースは、カールが活躍していた時代に着用されていた素材であり、着用しているうちに愛用者の個性ともいえる独自の風合いに変化していきます。また、ダイヤルカラーはアメリカ海軍伝統のブルーで、水にも強く吸汗・発散性のあるナイロン製ストラップ、ケースバックには潜水士のエングレービングが施されています。精度はクロノメーターを上回る日差-3/+5以内で高耐磁性を誇り、5日間のパワーリザーブと最大10年間の延長保証を備えています。

同シリーズのキャリバーを搭載し昨年発表された「アクイス キャリバー400」も、発売前から問合せを頂くほど当店でも人気のモデルとなりました。

カールの息子フィリップ・M・ブラシアは、「身に着ける人がこの時計を見る度に、たとえ不可能に思えることでも諦めずに努力し続けることの大切さを思い起こしてくれると嬉しいです」と、今回のコラボレーションに思いを寄せています。自分を信じる心と不屈の信念を持ち大きな壁を乗り越えたカール・ブラシアの言葉は、世界中で困難に直面している人々の心に希望を与えてくれます。

 

Oro-Gio大平

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