本日は、照明のはなしです。
オロジオの店内を照らす明かりはデンマークのLouis Poulsen社、ポール・ヘニングセンデザイン
によるPHシリーズの照明です。
温かみのある白熱色の光源を、乳白色や銅素材のシェードに拡散、反射させた光は、淡く適度な
陰影をつくり、照らされる人やモノを美しく見せ、心地良い雰囲気と環境を作り出します。
その中でもPANERAIブース上に優雅に佇むPHアーティチョークは、彼がデザインした200種
以上の照明の中でもアイコン的存在となっています。
光源は72枚のシェードに覆われ、内側から放つ光を正確に反射し、空間を良質に照らします。
北欧のデンマークは日照時間が少なく、それ故に家の中で生活する時間が長い為、暮らしは
洗練されていき、照明に限らずインテリアや陶器、オーディオなど家での生活を良質にする
為のライフスタイルを作り上げてきました。
そうした環境の中で創り出された照明も単にデザイン性だけではなく、暮らしを彩り機能面
でも計算し尽くされた完成度を誇ります。
今回、タイトルにした【陰翳礼讃】は昭和初期の谷崎潤一郎氏の作品で、建築や文化において
陰翳(影)のなかに生じる美しさや美意識を考察した随筆です。
現代ではフランスやアメリカでも翻訳され、建築家やデザイナーのバイブルにもなっています。
PHの照明は上記の随筆のように日本人が元来、潜在的に持っている障子や行燈など明かりをほのか
に透して生じた陰影に対する美意識や安心感と非常にマッチした照明です。
オロジオにお越しの際は心地良い明かりの下、リラックスした状態でゆっくり時計選びをしていた
だければ幸いです。