ステーキハウス 牛亭
住所:福岡市中央区大濠1-7-2 チューリッヒ大濠1F電話:092-714-1933
営業時間:11:30〜15:00(O.S.14:30)
17:00〜22:00(O.S.21:00)
店休日:水曜日
駐車場:4台
幼い頃からずっと、“ステーキハウス”という言葉の響きに憧れていた。
レストランやステーキ屋というニュアンスとは、ちょっと違う。
“ステーキハウス”という言葉を耳にすると、肉を誰よりも熟知し、それでいて気取らないオーナーが、人間味いっぱいに迎えてくれる絵が浮かぶ。ステーキというスペシャルなメニュー。だからこそ、和やかなおもてなしに包まれて、我が家のようにリラックスしていただきたいのだ。
そんな我々が思い描くステーキハウスを形にしたような店が、大濠公園の南側にある。「ステーキハウス牛亭」だ。
「ステーキハウス牛亭」が大濠の地にオープンしたのは平成6年。それ以前は、久留米で店を営んでいたが、縁あってこの地にやってきた。
店のなかには、琥珀色の空気が漂っているようで、心からゆったりと落ち着ける。ぐるりと見渡せば、老舗ホテルのバーカウンターのようにアールのかかったカウンター。ヴィンテージ感を増したインテリア。そして店名を掲げた銅のプレートに、ステーキを炭火で焼くための窯がある。
そう、「ステーキハウス牛亭」のステーキは炭火焼きだ。ホテルのレストランなどでお目にかかる鉄板焼きのステーキとはちょっと違う、伝統的なスタイルのステーキが提供される。
筆頭メニューは、和牛ステーキセット(3,500円)。肉は、ヒレ・ロース・網焼きステーキから選べ、炭火でじっくり焼き上げたものが鉄板に乗せられてやってくる。炭火で焼くというのも調味料のひとつと言うべきか、肉の香りもより豊かに、香ばしさと絶妙な火の通り具合でぺろりといけてしまう。付け合せは彩りよく、じゃがいも、にんじん、ブロッコリー。そしてサラダにコーンスープ。定番中の定番、ベストなコンビネーションのセットが、いかにも“ステーキハウス”の名にふさわしい感じがして、何ともうれしくなる。
はじめて「ステーキハウス牛亭」を訪れるならば、ぜひカウンターに座ってみたい。つやつやと美しい牛肉がさらに美しく整えられていく様子を、目の前で見られる。
肉は九州産の中から、その時、最もいい状態のものを選んで仕入れているそうだ。
断面も美しくカットされた肉は、カウンターからも眺めることのできる、炭火焼きの窯へ。
使用している炭は備長炭。ご存知の通り、燃える時のカロリーが高く、その温度は600〜800度程度にまであがるという。安定した遠赤外線効果で、肉をおいしく焼き上げる。炭からでる煙も少ないため、雑味もつきにくいそう。
炭火焼きはシンプルな調理法であるため、その分、焼き加減によって大きく味わいに違いがでる。難しいのは、生き物のように表情を変える炭の“あやつり方”。思い通りに炭をコントロールできるようになるまでには、長い年月が必要なのだ。1枚、1枚、細心の注意を払いながら、真剣勝負で焼いていく。
備長炭の表面がこのように白くなった時、調理に適した温度とか。
ステーキハウスに憧れたように、ステーキハウスを“馴染みの店”として使いこなしている大人にも憧れる。
夜は、会食などあらたまったシチュエーションに。休日の昼は、子どもたちの笑顔が見たくて、家族を連れてくる。平日のランチは手が届きやすい価格だから「福岡に住んでて、肉が好きなら、ここを知っとかなきゃ」と後輩に教えてあげても喜ばれる。
大人気のランチメニューは1,200円から。こちらは「牛亭ランチ B」。牛ロース炭火焼きとバンバーグがセットになって、1,700円(サラダ、ライスまたはパン、コーヒー付き)。これなら普段使いにも手がとどくし、憧れのステーキハウスとの距離が縮まるだろう。ハンバーグのデミソースは洋食屋さんのような味わいで、ご飯にも合う。パンは日本人好みのふんわり系だ。
「角切り炭火焼きランチ」も1,700円(サラダ、ライスまたはパン、コーヒー付き)は、シンプルに思う存分、牛肉を楽しみたい人に。炭火で焼き上げた後、固形燃料で温めてられた鉄板の上にサーブ。最後まで冷めることなくいただける。この心配りがうれしい。
中は赤いが、じんわりと火が通っている。牛肉を食べた!という満足感もひとしおだ。
ランチメニューには、「牛亭ランチ A(ポーク炭火焼きとハンバーグの2品、1,200円)」、「牛肉薄切り炭火焼きランチ(1,200円)」、ビーフシチューやタンシチュー(各3,000円)なども並ぶ。
ちなみに醤油ベースのステーキソースは自家製。調味液に、にんにくを漬け込み4カ月。気長につけることで、あらゆる素材の味わいが混じり合い、おいしさを奏でてくる。
ちなみに漬け込んだ後のにんにくスライスが絶品で、「このにんにくが忘れられない!」と牛亭ファンになる人も多い。ただ、つくっている量に限りがあるので、常にありつけるわけではない。出会えたらライスもステーキもすすむことは間違いない。
店主の武野さん(写真)と、この日はあいにくお休みしていた武藤さん。おふたりとも朗らかで会話も楽しい。
「店はお客様に来ていただいて出来上がるものなんです。だから牛亭も単なる“自分たちの店”じゃないと考えています。これまで育ててくれた“お客様の店”なんですよね」。自然と出てくる言葉が、なんと客冥利につきることか。
「だからね、内装なんかも、勝手に変えるのはどうかなと。ガラリと新しくしたら、寂しく感じられる方もいるだろうなあ…と考えてしまいますね」とにっこり。そんな武藤さんのお人柄も、この店に通いたくなる理由のひとつとなっている。
「ステーキハウス牛亭」は“お客様の店”。私たちもいつか、この店の構成要素のひとつになってみたいものだ。