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質の高い薬剤師を世に送り出す立役者-薬進会 代表取締役 篠倉光博-

PEOPLE|2015.8.31 Photography:Satoru Hirayama
Text:Satomi Nishimura

練り上げられた講義は、職人技の域に

その板書は、完成されたデザインのようだ。白・赤・黄色と手にするチョークは、その色も、書き込むタイミングも、すべてに意味がある。言葉には熱気があり、一切の無駄がなく、一切の不足もない。檀上に立つのは「薬進会」の篠倉光博さん。薬剤師国家試験対策の個別指導・家庭教師派遣の事業を展開している。企業ポリシーは、「わかるまでやる!できるまでやる!」。

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この日の舞台は、500人収容できる大講義室。大学からの講義依頼だ。篠倉さんの言動に合わせて、学生たちの頭が上下に動く。分厚い参考書を傍らに置き“講義を聞き・ノートに書き込み・考える”という一連の動作を繰り返す。そこにリズムすら感じる。チャイムが鳴ると同時に講義はぴたりと終わった。

学生が講義に合わせるのではなく、学生に講義を合わせる

薬学部が4年制から6年制となったのは2006年。それから薬剤師国家試験の合格率はみるみる低迷していく。予備校が6年制に対応しきれていないという現状もあったという。そんな中、篠倉さんは人気講師として半年、1年と受け持った学生を、合格へと導いていく。20代の若さで予備校の校長となり、30歳で独立した。

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ただただ、国家試験に合格してもらいたい。学生が、自らの将来に向かって邁進する手助けをしていきたい。そのために、自分の信念に沿って確信したことをやる。
「薬進会」は、個別指導や家庭教師などのマンツーマン指導を核に、オーダーメイドカリキュラムを作成し、学生個人と向き合って結果を出してきた。「薬進会」の教室での集団講義も、最大で30名ほど。それ以上になると、学生が主体ではなく、講義が主体になってしまうと篠倉さんは考える。

計算しつくされた講義だが、毎回全く同じシナリオというわけではない。篠倉さんは、学生の顔つきを見て理解度を確認し、進め方やペースもその都度調整する。この学生には怒るのか、褒めるのか、それともしばらく泳がすのか。どのパターンで接するのかを見極める。
講義のために準備を重ね、講師自ら学び続けることで、学生の個性や理解度に合わせた柔軟な講義が可能となる。

「薬進会」と薬局勤務の、両輪で学生を育む

独立にあたって、薬局への勤務も始めた篠倉さん。現場での経験が、学生の学びに不可欠だと感じていたのだ。「薬進会」の経営と薬局の勤務は両輪でなければいけない。今でも週に1回程度は薬局に勤務している。春に処方されるようになった新薬は、次の国家試験ではもう出題されるという。

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「薬進会」での学びは、国家資格取得だけをゴールとしない。薬剤師として就職した後のビジョンを持てることも目指す。篠倉さんは自身の薬局勤務を通して、「現場で通用する人材を育てたい」という思いを強めているのだ。
自分や家族の健康状態に不安がある時に相談したいのは、どんな薬剤師なのか。信頼できる豊富な知識と、気兼ねなく相談できるコミュニケーション能力を備えた薬剤師が理想である。また、そうであってこそ、薬剤師の仕事にやりがいを感じるのだ。篠倉さんは、そこへ学生を導いていく。

人と人、人とWEBを繋ぐ「薬進会」の仕組み

「薬進会」は、学生と企業を繋ぐパイプ役にもなっている。年間54週ある「薬進会」の講義。その内の10週は学生ではなく、企業が「薬進会」に受講料を払っているのだ。

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講義の後には就職説明会があるので、企業は必要とする人材を開拓でき、話をする機会も得る。学生側も無料で受講できる上に、企業を知る機会も得る。就職してからの「こんなはずじゃなかった!」を、企業と学生の双方で減らせて、しあわせなマッチングとなる。

また、「薬進会」の講義は、WEBから動画で見られる。ヤル気があれば、学生自ら学び進めていくことができるのだ。もちろんビジネスであるから有料と無料の枠組みはあるが、現在すでに200本もの無料動画がアップされている。学生本位であること、この上ない。

講師と学生、企業と学生、薬剤師と患者。人と人とが直に顔を合わせて生まれる関係性や、ふれあいの大切さと、WEBを駆使した効率のよさ。偏らず、同時進行していくことに、篠倉さんのバランス感覚のよさと、面白さがある。
独立してからは、24時間365日、仕事のことが頭の片隅にある。バカンスへ行っても、アイデアが浮かんだらメモを走らせる。学生が喜び、堂々と巣立っていく姿が篠倉さんを駆り立てるのだろう。

アイデアとパワーの源は、食べる・飲む・旅をする

仕事に熱い篠倉さんは、プライベートも楽しみきる。「ORO-GIO STYLE」のGOURMETコーナーで紹介した飲食店にも、よく足を運ぶそう。アルコールにめっぽう強い篠倉さん。一緒にシガーを嗜むのだが、この組み合わせが意外にも経済的なのだという。

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シガーもピンキリではあるが、1本1,200円ほど……つまり、バーで1杯分のカクテルの価格で、2時間は上質な時間を楽しめる。出張先など1人でバーに入ると、ついつい杯を重ねてしまう。しかし、アルコールとシガーを交互に口にすることで、飲む量がセーブできるのだと篠倉さんは笑う。

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旅も愛する篠倉さん。定番で訪れるのはイタリアと沖縄。「薬進会」を巣立った沖縄出身の学生と、今では友人として那覇で泡盛を飲み交わすこともある。旅では、モノとの出会いも大切にしている。それを身に着けると、その旅の記憶までよみがえるのだ。

イタリア好き“ならば”の、パネライ

年に1回はイタリアへ飛ぶという篠倉さん。愛用は、イタリアの軍用時計にルーツを持つ<PANERAI>の限定品だ。

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極限下での見やすさを追求した文字盤は、ブランド名すら表記がない。機能性以外の一切をそぎ落した潔さは、美しさに昇華する。まさに<PANERAI>らしい1本といえるだろう。そして、分かる人にだけ分かるという、通好みの1本でもある。

「薬進会」が、福岡の薬剤師を格上げする

篠倉さんの会話は講義同様、軽妙でいて理知的。とても分かりやすい。しかし、迫力ある講義とはまた違い、柔和な口調と笑顔をみせてくれる。

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結果にフォーカスして実績を出す。現場に必要とされる薬剤師を育てる。迫力ある講義と柔和な笑顔は、その両面を象徴しているようだ。そんな篠倉さんだからこそ、学生はもちろん、我が子を託す保護者、講義を依頼する大学、新しい取り組みに賛同する企業からも信頼を集めているのだろう。
薬剤師の卵が今、篠倉さんの手によって着実に磨かれている。「薬進会」出身の薬剤師が、行きつけの薬局に配属されることを願う。

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information

薬進会
株式会社 薬進会 代表取締役 篠倉光博
「アイデアをカタチにしたり、新しい仕組みを生み出すことが性に合う」と、福岡大学薬学部卒業後、薬剤師国家試験の予備校講師となる。2009年「薬進会」を設立。自身の講義スタイルに“圧力”は必要ないと、スーツや白衣は着用しない。学生の興味を引くポップなホームページも、篠倉さんが着想したもの。


薬進会
住所:福岡市南区玉川町15-4ブルク高宮101

薬進会
http://www.yakushinkai.co.jp
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