正規販売店として、時計との出会いをより素晴らしいものにしたい
つける人の好みはもちろんのこと、そのライフスタイルや醸し出す雰囲気にも、ぴたりとはまる時計を提案したい。Oro-Gioのスタッフはそのために、常日頃からさまざまなカルチャーに触れて、知と感受性を蓄積し、お客様の背景にまで心を配れるよう努力を重ねている。
しかし、それらの提案も、やはり時計に基づいた知識という「軸」が完璧でなければ活きてこないのである。
世界に12名の技術トレーナーがOro-Gioを教室に変える
さて、今回は、その「軸」を育てるための時間をご紹介する。
おなじみのカウンターが教壇に早変わり。BREITLING(ブライトリング)の技術トレーナー、林 繁さんが、東京「STUDIO BREITLING」よりOro-Gioを訪問し、勉強会を開催してくださった。
林さんの役職である技術トレーナーとは、メンテナンスを担当する技術者の指導を行う立場にあたる。
今、世界で活躍するBREITLINGの技術者は約500名。技術トレーナーは、そのうちわずか12名。いつも物腰やわらかでスマートな林さんであるが、実は、世界で選ばれた12名のひとりという“凄腕”なのだ。
林さんは、雑誌で見かけ、胸を射ぬかれたほどの衝撃を受けたBREITLINGの時計に携わるため、時計学校を卒業。何度もタイミングを窺いながらブライトリング・ジャパンの門をたたき、ついには入社に漕ぎ着けたという。
ユーザーをとことん大切にする姿勢が、社員の誇りに変わる
BREITLINGは、1884年にスイスで創設された。クロノグラフの発展に貢献した数々の発明により、機械式クロノグラフの分野では、常にパイオニア的役割を果たしてきたことで知られるブランドだ。2009年には、自社開発・製造による機械式クロノグラフ・ムーブメントを完成させ、自社キャリバーを所有する、ごく少数のブランドのひとつとなった。
林さんは、勉強会当日に、BREITLING自慢のキャリバー01を持参。手のひらに軽く収まるサイズに346個もの精密な部品がきちんと並んでいると想像すれば、時計の中には小宇宙があるという言葉を実感できる。
BREITLINGは、ユーザーへの想いがとびきり深いことでも知られている。その想いは勉強会でも、林さんから熱く伝えられた。
今回のように、技術トレーナーである林さんが、Oro-Gioに足を運んで勉強会を開催するのは、正規販売店であるスタッフの知識を増やすためだけではない。Oro-Gioスタッフに、BREITLINGのアイデンティティと哲学、そして製品についての知識を伝えて、それらを余すところなくユーザーと共有してもらいたい。それは必ず、ユーザーの時計選びへプラスになるのだからという、“ユーザー目線”の目的がある。
膨大な時間と費用がかかるこの活動についても、BREITLINGは当たり前のことだと考えている。「我が社は、『当たり前』のレベルが高いのですよ。技術者が販売店訪問までするブランドはそうないでしょう」と、林さんは確かな自信をもって微笑む。
お客様の時計に触れるのは、基準をクリアした技術者だけ
「時計の購入はゴールではありません。そこからBREITLINGと長いおつきあいがスタートすると考えていただけたらうれしいですね」と林さん。
そこで、長期間にわたり持続可能な時計との関係のために、BREITLINGはメンテナンス事業に対して非常に力を入れている。
林さんが勤務する「STUDIO BREITLING」は、東京・銀座と大阪・心斎橋に存在するBREITLINGのメンテナンス拠点だ。ここは、スイス・BREITLING社公認の正規メンテナンススタジオで、正規の専用工具と純正部品が備えられている。
「STUDIO BREITLING」で、時計のメンテナンスを担当するのは、スイス・BREITLING社の厳しい基準をクリアした技術者のみ。彼らは、決してOn Job Training(仕事をしながら技術を学ぶこと)で時計を修理しないという明確なルールを作っているそうだ。
「STUDIO BREITLING」にはメンテナンスのために、たくさんの時計が送られてくるが、そのひとつずつにそれぞれのストーリーや思い出がつまっている。「ユーザーのみなさまにとっては、かけがえのない1本。メンテナンスでも、可能な限りのベストをつくします」と林さん。
厳しい基準をクリアできる技術者の育成にもまた、膨大な時間と費用がかかるはず。しかし、「そこまでするのがBREITLINGなのです」と林さん。メンテナンスに取り組むBREITLINGの確固たる意志。そして、アフターサービスの充実を進めていくのだという意気込みを感じとれた。
そして、日本の正規販売店で時計を購入したユーザーは「CLUB BREITLING」のメンバーとなれることにも注目したい。メンバーならば正規メンテナンスおよびオーバーホールの技術料が半額になるのだ(2015年5月現在)。これは時計と長いおつきあいをする上で、大きなアドバンテージになるだろう。
さらに「STUDIO BREITLING」のメンバーズラウンジにて、メンテナンスに関するアドバイスを受けることもできる(通常、毎月第2土曜日に実施)。ブランドとユーザーの直接の交流も、進歩的な取り組みではないだろうか。
技術者のモチベーションをあげる『生の声』を拾っていきたい
林さんが、今回の勉強会において、Oro-Gioスタッフとの会話の中から得たさまざまな情報は、「STUDIO BREITLING」で待っている技術者たちへの素敵なプレゼントにもなるそうだ。
「Oro-Gioさんのような正規販売店を訪問するのは、ユーザーの方々の喜び、製品への感想、クレームなどの『生の声』を直接聴く絶好のチャンスです。その『生の声』を、日々時計に向き合う技術者たちにフィードバックするのも、私の大切な仕事のひとつ。刺激を受けた技術者の責任感とモチベーションはぐっとあがり、結果、ユーザーのみなさまに最良のメンテナンスをお届けできるのですから」。
「STUDIO BREITLING」でメンテナンスする時計は、単なるひとつの製品ではない。ユーザーのみなさまにとって、かけがえのない一本である。
林さんは、その紛れもない事実を技術者がさらに自覚できるように『生の声』を届け続ける。
色や素材を考えるだけで胸が高まる、クロノマットを腕に
林さんがつけている時計はBREITLINGを代表する機械式クロノグラフ、クロノマットだ。2014年に誕生30周年を迎えたBREITLINGが誇る、フラッグシップモデルである。
林さんに、クロノマットの魅力を聞くと「まず、自社開発・製造による機械式クロノグラフ・ムーブ
メントを搭載していることですね。そして、ケースの素材や文字盤の色が豊富にあること。自分で組み合わせを考えるのがとにかく楽しいんです!」。
ベルトにいたっては、メタルブレスレット、革(こちらも種類・色ともに豊富なこと!)、ミリタリーストラップやラバーベルトなど多彩なラインナップから選択でき、自分だけの1本に仕上げることができる。
我が理想だけを突き進むのではなく、ユーザーに選ぶ楽しみを与えてくれるのも、BREITLINGならでは。いや、このユーザーありきのスタイルこそが、BREITLINGの理想なのかもしれない。
ケース、文字盤、ベルトの組み合わせのシミュレーションはBREITLINGの公式ホームページ上でもできるので、ぜひ試してみてほしい。